原木椎茸屋の山暮らしさんのサイトより
http://genbokushiitake.blog.fc2.com/blog-entry-1458.html
〈転載開始〉
―原木椎茸と菌床椎茸―
椎茸には原木椎茸と菌床椎茸があることはご存じだろうか?
知っている方も、どこがどう違うということが分かるだろうか?
比較してみる。
ー 栽培方法 ー
原木椎茸はその名の通り原木と呼ばれる楢やクヌギなどを一定の長さに切ったものに
種菌を植えて椎茸を発生させる栽培法、
菌床椎茸はおがくずに栄養体を混ぜ、高温殺菌した培地と呼ばれるものに
種菌を植えて椎茸を発生させる栽培法。
つまり、キノコの栄養になるものが、
原木椎茸ならば原木、木を分解しながらキノコを発生させるのに対して、
菌床椎茸はおがくずと栄養体を餌にキノコを発生させるわけだ。
要するに、畑と同じように栄養体と呼ばれる肥料分で養分を補っているわけだ。
ちなみに栄養体というのは米ぬかやふすまなどの自然物から、
企業で販売されるまさに肥料の様なものまであります。
最近ではこの栄養体の配合によって発生量や栄養価が変わることが分かり、
人為的に栄養価の高いきのこを生産できるようになっているようです。
また、栽培方法が原木なら路地、菌床ならハウスのように思われているかもしれませんが、
原木椎茸も、生シイタケの促成栽培をする場合はハウスでの栽培になります。
路地での栽培は主に乾燥シイタケ用の物になります。
菌床椎茸はほぼハウス栽培で、無菌室の様な工場で生産されているものもあります。
空調を利かせ、まさにシイタケ生産工場の様な施設もあります。
これは菌床自体が害菌や害虫に弱いという問題点であり、
自然の原木と人工物の菌床との違いですね。
ー 外見 ー
路地で自然発生した原木椎茸と菌床椎茸を比べるとその差はかなり大きいですが、
外見の違いというものは栽培物ではほとんどないといえます。
菌床椎茸の方が頼りない外見をしていることはありますが、
これは品種によってまちまち、原木椎茸でも菌床椎茸の様な外見のキノコになる品種はあります。
モノによっては菌床の方が見栄えがいい場合もあります。
ただ、菌床椎茸はあまり膜の切れた状態で出荷されることはありません。
菌床椎茸は膜が切れて開いてくると、どうも風味がかなり落ちるようです。
そのため膜切れをあまりしない状態で出荷されることが多いようです。
ー 風味 ー
一般的に原木椎茸の方が風味は良いです。
ただ、人によってはこの風味の強さが苦手という場合もあり、
香りや味が弱い菌床椎茸なら食べられるという場合もあるようです。
業者によってマイナス面をプラスとして押し出していることもありますが、
(例・特有の香りが少ないため食べやすい、など)
それは椎茸本来の物ではありませんし、
言ってしまえば椎茸の姿をした別のものではないだろうか。
椎茸嫌い克服のための入り口としては有用なのかもしれませんが・・・
ちなみに椎茸の香りの主な成分がレンチオニンという物質だそうだ。
硫黄化合物で、これがいやな香りに感じるようである。
やはりこれも原木椎茸の方が含有量が多くなっています。
ー 栄養 ー
栄養素の比較をできるデータが見当たらなかったため、
栄養の比較はできませんが、
上記のとおり、菌床では人為的に栄養価を高めることができます。
単純に栄養価を比較することはできません。
しかし、有意に差が出るとされているのがアミノ酸です。
原木 菌床
グルタミン 447.2 ± 61.5 ±
グルタミン酸 263.3 ± 124.3 ±
バリン 120.5 ± 60.3 ±
ロイシン 112.0 ± 25.2 ±
オルニチン 472.9 ± 303.4 ±
γ-アミノ酪酸 72.0 ± 394.2 ±
(±は個体差です。産地、品種によって上下があります)
この表の様に、原木椎茸の方がアミノ酸含有量が多いものがたくさんあります。
特にうまみ成分であるグルタミン酸を多く含んでいることから、
原木椎茸の方がうまみがあるといえます。
このように、外見は椎茸でも、原木と菌床ではさまざま違う点が存在します。
それぞれに長短はありますが、
元々の椎茸は原木、低コスト大量生産型になったのが菌床です。
菌床のおかげで安定供給ができていることは事実ですので、
何がよくて何が悪いかは、消費者側に判断してもらうほかありませんね。
〈転載終了〉
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