http://www.jacom.or.jp/news/2014/07/news140724-24978.php
〈転載開始〉
農研機構と農業環境技術研究所(農環研)は、北日本の水田地帯で夏に発生するミツバチの斃死(へい死、※)について、斑点米カメムシ類防除剤が影響を及ぼした可能性が高いとの調査結果を公表した。7月18日に発表。
調査は平成24年7月20日から8月19日の約1カ月間、北日本のとある水田地帯で、水田から半径50m〜2kmまでの範囲にある8蜂場、計415個のミツバチの巣箱を調査した。
その結果、8場中5場で、計24回の斃死(100匹以上死んだ場合を1回とカウント)が発生。斃死したミツバチはすべて成虫で、巣外で活動する外勤蜂だけでなく、巣内で掃除、育児、営巣などを行う内勤蜂にも被害が出ており、群全体が何らかの被害を受けていた。発生時期は、イネの開花とほぼ同じ時期に集中していた。
ミツバチの死虫から殺虫剤濃度を調べたところ、ネオニコチノイド系のクロチアニジン、ジノテフラン、フェニルピラゾール系のエチプロール、ピレスロイド系のエトフェンプロックス、有機リン系のフェントエートが検出された。これらはすべて、イネの開花時期にあわせて散布される斑点米カメムシ類防除剤の有効成分である。一方、斃死したミツバチ群から病気は検出されず、また、スズメバチの被害もなかったため、調査チームでは「(斃死は)水田で散布される殺虫剤に曝露されたことが原因である可能性が高い」と結論づけている。
ただし、ミツバチの越冬性や繁殖性など、これら殺虫剤が長期的な影響を及ぼすかどうかは、「検討したが、確認できなかった」としている。
また、「ミツバチが水田で殺虫剤に曝露される際の詳細な経路の解明や、それを回避するための技術開発が重要」だとしており、今後、調査チームでは「ミツバチが水田に近づく機会を少なくさせる技術を検討する」予定だという。
【斃死・へい死】
動物、虫、魚などが突然死亡すること。ミツバチの斃死は、国内では21年春に、花粉交配用のミツバチが不足したことで注目された。欧州では、蜂の個体数減少と特定の農薬が因果関係を持つ可能性があるとして、使用を一部制限するなどの措置を出している。
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