ほんものの食べもの日記partⅡ さんのサイトより
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〈転載開始〉
昨年梅干しをおすそ分けした友人に「今まで食べたことないほどんまい!」と、
大変喜ばれたです。ナントカいうブランド梅干しよりもんまい! と言われたので、
そのブランドを調べてみたら、大量生産→塩抜き→調味して作られてましたです。
んで、べらぼうに高かったです。手づくりに勝る味はないってことですなあ。
穂のぼの農園さんのジュース、完売しましたです。
みなさまのおかげです。ありがとうございました!
「ジュースもプルーンジャムもものすごくおいしいですね!」と
何名かの人に言われたです。
「市販のトマトジュースとは味が全然違うんで驚きました」とか。
「何が違うんでしょう?」とも聞かれたです。
えーと、「それは原料です」と答えたけど、
あたりまえ過ぎたかなあと反省したわたくし。
ということで加工品について考えてみた。
ジャム、ジュース、梅干し、味噌等の農産加工品は、
原料の質がいいほどおいしいものができる。しかし、
そういうものほど末端価格が高くなるという宿命を背負っている。
例えば農家が出荷できなかった減農薬栽培のりんごを原料にして、
ジュースを作ったとする。
自分でジュースは絞れないので、加工を委託しなくてはならない。
委託した加工場で1リットルのりんごジュースを作ると
1本につき加工賃300円だったとする。
ビンに入ったりんごジュース1本300円。しかしこのままでは売れない。
原料りんごの価格を乗せないと赤字になっちゃうからね。
ジュース用だからと言って品質の悪いりんごを使うわけではなくて、
少し傷んで出荷できなかったもの、売れなかった規格外のものを使うから、
りんごの品質はかなりいい。腐ったものなどは入らないと考えていい。
お友だちに差し上げて喜ばれるもののひとつ「桃ジャム」。
「夢のようにおいしい!」とよく言われますが、わたくしの手柄ではなく、
元の桃がべらぼうにおいしい! から最終製品もそうなるだけなんす。
原料果物の味は、ことほどさように大切なのですよ。
この農家が規格外のりんごを10kg2,500円で売ってたとすると、1kg=250円。
1Lのジュースを作るには、1.5kg位のりんごが必要だと思うけど、
おおまかな計算なのでこの数字を使うと、以下のようになる。
300円(加工賃)+250円(原料費)=550円(ジュースの原価)
これに箱代・手間賃・ガソリン代等の経費を乗せて販売価格を決める。
800円くらいで売れればOKって感じかな?(このへん適当)
自分で売り切れればいいけど、そういうことはムリで、
基本的にはどこかの流通にお願いしたり、お店に置いてもらったりする。
流通や店舗で販売する際には粗利を乗せなくてはならないから、
粗利30%を乗せるとりんごジュースの売価は1,150円になる。
「そんな値段じゃムリかなー、せめて税込で1000円だよねー」
なんてお店に言われることも多く、泣く泣く原価を下げることになる。
下げないと大量の在庫を抱えることになり、さらに悲しい思いをする。
これが農産加工品を個人で作った場合の価格のしくみ。
お店で見ると「1,000円って高いなー」と思うかもしれないが、
べらぼうに儲かってる人はとくにいなくて、正しい価格であることが多い。
というか、店売りの場合は農家が損してることが多い。
では市販のものはどうかな?
一番安価な、スーパーでもよく見かける「濃縮還元」ジュースは、
濃縮された果汁を輸入し日本で薄めてジュースにしたもので、
濃縮する過程で原料果物の風味が飛んでいることが多い。
原料果物がどんな農薬使って作られてるか、どんな品質のものか、
なんてことはもちろんわからない。
毎年大量にいただく自然栽培のすももでジャムを作りますが、
夏のクソ暑いときに炭酸割りにして飲むと元気が出るのは、
このすもも自体に力があるからだと信じて疑わないわたくし。
食べものはかくあるべし、という見本のようなすももジャム。
日本で製品化する際には、その味を元の果物に似せるため香料を入れる。
そして「濃縮還元だよね、うんうん」という独特の味になる。
果汁を濃縮すると在庫や流通の際のスペースを節約できるという
すんばらしいメリットがあるが、まあ、おいしくはない。しかし安い。
濃縮還元よりもちょっと高いストレートジュースは、
原料が「うーん、ちょっとどうなのか」的なものであることが多い。
効率を優先した果汁の絞り方や加熱・殺菌方法等の兼ね合いもあり、
そんなにおいしいジュースにはならない。
わたくしはとあるJAの倉庫で「これジュース用」という果実が
コンテナに山積みになってるのを見たことがあるが、
それ以来市販のジュースが怖くなり、絶対に買わなくなった。
しかしひとつ気づいたことがあった。
自分で農産加工品を作るよりも、加工用の格安価格で出荷したほうが
農家としてははるかに楽に違いない。たとえアホみたいな価格であっても。
だから自分で加工品をあれこれ作る農家というのは
自分の作物をとても大切にしている農家、あるいは、
貧乏で自分の作物を無駄にしたくない農家とも言えるだろう。
自分の作物への愛情が強い農家、と言ってもいいかもしれない。
そういう人が作る加工品のメリットは、
原料果実の品質がいいということだ。
手作りするからって加工品が割安になるわけではなく、
原料にいいものを使うと買うよりも割高になることのほうが多いもんです。
んじゃ、売ってるものはどんなもので作られて、なぜあんなに安いのか?
そういう疑問を持つことも大切なのではと考えたりするわたくし。
さらに、ここがミソなのだが、おいしい果物を作る農家のものほど
その加工品もおいしいのだ。考えてみれば当然なんだけど、
加工度の低いものほど原料の味が如実に出るから、
原料の味のレベルによって最終製品の味は変わる。
おいしくないものを使えば、絶対にそれ以上の味にはならないし
そうするためには何かよぶんなものを入れる必要がある。
農家に知り合いがいて、その人の作るものがとてもおいしければ、
その人の作る加工品を直接購入するのが一番いい。
さらにとてもいいことがひとつある。
直接買えば全部農家の収入になり、農家がすんごくうれしいのだ。
消費者としての問題は、そういうものは割高だということである。
バクバク食べたりがぶがぶ飲めないということでもある。
しかし、わたくしにとってほんとうにおいしいものとは、
ちょびっと食べてうふっと笑って幸せな気持ちになる的なもので、
大量にガツガツ食べてすげー満足! やってやったぜ!!
ってなものとはちょっと違うと思うんだけど、どうでしょうか。
あまりにもわたくしはぽよよんとし過ぎているでしょうか。
〈転載終了〉
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