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〈転載開始〉
梅雨は、植物にとっても人間にとっても病気の季節、言い換えれば、病原菌の繁殖の季節です。
これを抑える方法としては、クスリもありますが、できれば微生物層を豊かにして、有用菌や普通の菌を増やしておくことで、病原菌の繁殖を抑えるようにしたいものです。
いずれにせよ、菌の性質をよく知っておいて損はない、ということで今回は梅雨時の微生物についてです。
その前に、まずは、微生物についてざっとみて見ましょう。
大きく、菌類、原生生物、細菌に分かれます。
これは、動物とか植物といったごく大雑把な分け方です。
これらの中で菌類というのは、細かい定義は抜きにすると、糸状菌(カビ)とかキノコの類いです。
原生生物は単細胞生物で、細胞の中に核があって菌類でないものです。
ゾウリムシとかアメーバとかミドリムシとかが代表例です。
細菌は、細胞内に核を持たないものです。
馴染みの深いものでは、乳酸菌とか納豆菌とか大腸菌とかです。
ちなみに、うどん粉病の病原菌は、うどん粉カビで糸状菌(菌類)。
青枯れ病は青枯れ病菌で細菌です。
で、病気の元となる菌としては、主に糸状菌と細菌となりますが、糸状菌はざっくり言って、環境がよいと激しく繁殖し、悪いと活動しにくくなります。
細菌は、細く長く生活しますので、環境が良くても悪くても糸状菌ほどそんなに数が変化しません。
そのため、林などの環境のよいところでは、糸状菌が、細菌よりずっとたくさんいます。
糸状菌は、分解しにくいセルロースやリグニン(木の骨格部)までエサとして利用できます。
それに、木々や枯れ葉で日射が遮られ、湿度も安定しています。
しかし、畑では糸状菌の数はずっと減ってしまいます。
畑では、耕耘や草刈りで地面が露出してしまいます。
そのため、日射が強すぎて温度が高くなりすぎたり、乾燥し過ぎたり、環境変化が激しくなります。
これらは、糸状菌にとっては過酷な環境です。
これに対して、細菌の方は、林だろうが畑だろうが、数はどちらもそんなには変わりません。
結果として、畑では細菌と糸状菌の数が同じくらいになっています。
で、これが梅雨の時にどうなるか。
最高気温は、30℃前後の日が増え、多くの微生物に取っては最も活動しやすい季節となります。
さらに、雲によって日射が遮られる結果、昼と夜の温度差が小さくなります。
また、雨が多くなり、湿度が上がります。
これらは糸状菌にとって有利な条件です。
従って、梅雨時期にはカビ関連の病害が増えがちとなります。
ただし、これはあくまで一般論です。
実際は個々の微生物の性質によります。
なお、水はけの悪いところで、湿度が高くなりすぎても、糸状菌は活動しにくくなり、細菌が優性となります。
糸状菌は基本的に好気性で、空気のないところでは活動できません。
細菌には、嫌気性の(酸素が必要ない)菌が増えることになるでしょう。
野菜の病害ではないですが、破傷風菌、ポツリヌス菌などが、土壌の嫌気性の病原菌として挙げられます。
これらを防ぐためには、やはり嫌気性の菌を導入することが望ましいでしょう。
乳酸菌や酵母菌は通性嫌気性といって、酸素があってもなくても生きていけます。
これらの菌を直接投入するのもいいですし、これらのエサとなる米ぬかを撒くのも良いです。
<参考にした本>
瀬戸昌之 環境微生物学入門 朝倉書店
〈転載終了〉
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