http://greenz.jp/2014/05/28/hops_in_a_box/
〈転載開始〉
「とりあえずビール」と言われるくらいお馴染みのビール。実は100以上も種類があることをご存じでしたか?
大手メーカーが大量に生産したものとは区別して、ビール職人が原材料の種類や品質、醸造方法にこだわってつくった「クラフトビール」が注目を集めています。今回は、発展めまぐるしいロンドンのクラフトビール業界から、まち一体となってビールづくりを楽しむ素敵なアイデアを紹介したいと思います。
こだわりのビールがどのようにつくられているのか、まちのみんなに体感してほしい。
このような思いのもと、クラフトビールメーカー「Meantime Brewing」が昨年から取り組んでいるのが、ビールの風味づけに欠かせないホップをロンドンの街なかで育てるプロジェクト「HOPS IN A BOX」。
といっても、都会の真ん中にまとまったホップ畑を確保するのは、容易ではありません。そこで彼らが考え出したのは、ホップ栽培キットを12,000個も用意し、家庭菜園で街のみんなにホップを育ててもらうという”クラウドソーシング”的な手法でした。
栽培キットの箱の中には乾燥培養土、ホップの種とミニポット、栽培マニュアルが入っています。
栽培キットの箱の中には乾燥培養土、ホップの種とミニポット、栽培マニュアルが入っています。
インターネットやロンドン市内のバーを通じて配られた栽培キットは、わずか2週間足らずでなくなるほどの大好評。自分のホップに名前をつけたりその様子をTwitterで投稿したりと、ホップ栽培をゲーム感覚で楽しんでいる様子がうかがえます。
道路わきの花壇から、民家やバーのバルコニー、さらには発電所、王立公園、博物館まで、ロンドンの100以上もの場所でホップがツルを伸ばし、秋にはたくさんの花をつけました。
ロンドンのシンボルの一つ、赤い電話ボックスの上にもホップの花が!
ホップって、こんなにたくさん花をつけるのですね。
ホップって、こんなにたくさん花をつけるのですね。
9月に摘み取られたホップの花は、生のままビールの醸造に使われます。生ホップが使えるのは、旬の時期に近場で収穫されたからこそできるそうです。
そして12月に完成した、正真正銘ロンドン産のビールがこちら、「Hop City Porter」。ポーターというスタイルのビールで、やはり一番のウリはホップの豊潤な香りです!
「Hop City Porter」はプロジェクトに参加した市内のバーで販売されました。
自分たちのホップが使われたビールを味わえるなんて最高の贅沢ですね。
「Hop City Porter」はプロジェクトに参加した市内のバーで販売されました。
自分たちのホップが使われたビールを味わえるなんて最高の贅沢ですね。
ロンドンの色々な場所で色々な人たちに育てられたホップは、その香りも品質も十人十色。大量生産の世界だと、そうした品質の違いはバラツキとして疎まれがちですが、クラフトビール業界では多様な風味につながるので歓迎されるのだとか。
なにより、人々にビール造りの一役を担ってもらうことで、単に醸造所を見学してもらうよりも多くのことを伝えられそうですね。
今年の「HOPS IN A BOX」では20,000個ものホップ栽培キットが用意され、そろそろ新芽がポットから顔を出しているようです。果たして今年はどんなビールが味わえるのか、きっとそんなことを考えながら、ロンドンのビール愛好家たちもポットに水をあげていることでしょう。
つくるものを変えたら、他のまちでも簡単に応用できそうな今回のアイデア。みなさんのまちでは、どんなものをつくってみたいですか?
(Text: 伊藤友宏)
〈転載終了〉
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