日本農業新聞 e農ネットさんのサイトより
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=27977
〈転載開始〉
女性の美から里山の美へ――。新潟県燕市で園芸用品などの製造メーカーを経営する山村則子さん(46)は、女性をきれいにするエステティシャンから子育てを経てハンター、会社社長に転身した。狩猟の傍ら有害鳥獣の捕獲器やおりを続々開発し、販売する。「命の尊さを強く知る女性ならではの目線を大切にしたい」と自ら捕獲に出向く日々だ。(尾原浩子)
・高齢者でも扱いやすく 被害知り一念発起
新潟県内で25歳までエステティシャンとして活躍していた山村さん。鳥獣害対策に関わるようになったのは結婚、出産がきっかけだ。義理の両親が経営をしていた園芸用品などを製造・販売する(有)栄工業の手伝いをするうち、有害鳥獣の商品開発に力を入れるようになった。
営業担当として現場の農家や自治体の職員と話すようになり、イノシシや猿などによる被害の深刻さを知った。
「鳥獣害は農家にとって死活問題だと分かり、何とかしたかった。売るだけではなく最後まで商品に責任を持ち、きちんとした知識を持って農家と話せるようになりたかった」と山村さん。
そこで2006年に狩猟免許を取得し、有害鳥獣を捕獲する商品開発や販売促進に本腰を入れるようになった。価格と質を吟味して購入する消費者目線と狩猟者として安全面を重視し、企画に携わった。
3年前には義父から経営を引き継ぎ、社長に就任。従業員18人を抱え、40種以上の捕獲器を企画、設計する。特に力を入れるのは、女性や高齢者でも扱いやすく場所を選ばない商品作り。
例えばネズミ駆除器は、餌の置き場などを工夫し、複数のネズミを一度に捕獲できる。購入者からは「面白いほどぞろぞろ入る」と評判となった。
経営に生きているのは、エステティシャン時代に学んだ細やかな配慮と、楽しく会話しながら商品を説明する技だ。
最近では会社経営だけでなく狩猟者と共に現場に出向き、銃を手に捕獲を担う。ハンターとして講演会や研修の講師も引き受けるようになった。
「農家や農村にとって捕獲は必要だが、命の重みも強く感じている。命を頂く気持ちを忘れずに鳥獣害対策に関わっている」
支えは、被害がなく無事に収穫できたと喜ぶ農家の声。山村さんは「狩猟者の高齢化、担い手不足、鳥獣被害の深刻化など課題は山積みだけど、社長として狩猟者としてできることをしていきたい」と前を向く。
〈転載終了〉
0 件のコメント:
コメントを投稿