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〈転載開始〉
イスラム教の戒律で認められた物を示す「ハラール」の認証を取得する動きが、日本の農畜産品や食料品の生産・流通関係者の間で広がっている。イスラム圏から日本への観光客が増えているのに加え、世界人口の4分の1を占め、18億人いるとされるイスラム圏は巨大市場として輸出の期待がある。政府も24日に決めた「農林水産業・地域の活力創造プラン」で、輸出策の柱としてハラール認証の支援を盛り込んだ。少子高齢化などで日本国内の農畜産物市場が縮小する中、新たな市場としてムスリム(イスラム教徒)への期待が高まる。
・国内で900億円期待
ハラール認証が日本で注目され始めたのはここ数年。親日的で経済が急成長するマレーシアなどイスラム圏の市場と、年々増えるムスリム観光客への期待からだ。
日本アジアハラール協会によると、ハラール食品の世界市場規模は2013年で約300兆円に上る。しかも、ムスリム人口は30年には約22億人に増え、世界全体の3分の1に達する見込み。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、ムスリムが多く、インフラ整備と倉庫・物流業者が整う国・地域として、中国の上海、タイのバンコク、フィリピンのマニラ、マレーシアのクアラルンプールをハラール認証産品の有望市場として挙げている。
日本国内では今年、観光客と日本在住のムスリム合わせて約70万人の市場がある。ハラル・ジャパン協会によると「食に関する支出だけで900億円の潜在的な市場がある」とみて、例えばムスリムが安心して食事ができる場所をつくることを提案する。
これら国内外市場に向け、昨年から食品企業や牛肉加工業者などの認証取得が相次ぐ。認証機関でもある日本アジアハラール協会では「認証を受ける企業は毎月3、4社ペース」という。昨年は20社を認証し、今年は倍増を見込んでいる。
・輸出拡大 高級和牛 官民連携で
神奈川県内の肉牛生産者らでつくる「横濱ビーフ推進協議会」は4月下旬、国内のハラール認証を受けた黒毛和種のA5等級のサーロインとヒレ肉100キロをアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに初めて輸出した。富裕層が多い ため高価格な和牛を売れる「有望な市場」と見込んだためだ。
現地では、高級和食レストランのステーキなどに使われたという。同協議会の小野宏会長は「国内では上物が売れない。ハラール認証を取るには手間も掛かるが、海外で評価を得ることは国内でのブランド向上にもつながる」と期待している。
ただ、国内でUAE向けのハラール認証を取得している食肉取り扱い施設は2カ所だけ。処理できる頭数は限られる。
こうした現状に、地方自治体も対策に乗り出した。熊本県は2014年度補正予算で「ハラール対応牛肉輸出促進事業」に3800万円を計上。岐阜県は「岐阜県ハラールプロジェクトチーム」を6月30日に設置、官民で議論を始める。
ハラール認証牛肉の輸出をする大手食肉卸売業者によると、イスラム法に基づいた食肉処理方法は牛にストレスが掛かり肉に血の塊ができる多発性筋出血(シミ)ができやすい課題もあるという。シミができると国内市場では値段が大幅に下落するため、ハラール認証をためらう生産者も少なくない。
この卸売業者は「シミができてもハラール認証の牛肉という付加価値を付け、国内で販売できる流通システムを構築する必要がある」と指摘。その上で「日本にはない需要がイスラム諸国にはある。まずは和牛の高級部位を売り出し、消費の裾野を広げていきたい」と強調する。
・米生産者も
ハラール認証が関心を集めているのは牛肉だけではない。良食味として知られる米でも、認証を受ける業者が出てきた。
米を中心としたハラール食品を手掛けるフィードイノベーション(東京都千代田区)は13年9月に日本で初めて、米でハラール認証を取得した。秋田県にある関連農場で生産する米をマレーシア向けに輸出するためだ。東南アジアの主要都市には既に大手卸が進出しているため、今後の拡大が見込める市場として、マレーシアに目を付けた。
米の場合は、圃場(ほじょう)周辺に豚舎がないことなどが認証の条件になるものの、栽培上の大きな違いはない。それでも審査費用を出して認証を取得した理由を、佐藤仰喜社長は「マレーシアには事実上、ハラール以外の食品は輸出できないため」と説明。市場開拓のために必要な手続きと捉えている。
国内でのハラール認証米の販売先は、今のところ観光客向けの土産物店。真空パックにした、持ち帰りに特化した小容量の商品にとどまっている。飲食店などでの扱いが始まれば市場も広がるが、そのためには肉や米と合わせる加工食品にも認証商品があった方が有利。ハラール食品だけで料理のメニューができれば「売り先も広がる」と期待する。
・国内向け 観光ビザ緩和 追い風
国内でもハラール認証を受けた食品のニーズは高まっている。ムスリム向けの食品卸売業を2011年から展開するマレーシアハラルコーポレーション(東京都港区)のアクマル・アブ・ハッサン社長は、ハラール認証の取得に向けた勉強会に、しばしば講師として招かれる。ここ1、2年は月に10回くらいのペース。「急に増えた」と関心の高さに驚く。
背景にあるのはイスラム圏から日本へ訪れる観光客の増加だ。ムスリムの人口は中東より、むしろ東南アジアの方が多い。マレーシアでは国民の6割、インドネシアでは9割がムスリムといわれ、こうした国からの観光客が増えている。日本政府観光局によると、マレーシアからの訪日客数は5月までに9万9200人で、前年に比べて6割増。インドネシアも5万9700人と2割近く伸びている。
羽田空港国際線の増枠や、東南アジア諸国の観光ビザの発給要件が緩和されたことが観光客を呼び込んだ。アクマル社長は、食事や土産物といった観光客向けのハラール市場を「年間で最低でも10億円はある」と見込む。
同社は、ハラール認証を受けた牛肉を扱っているのが特徴。同社の求めに応じて認証を取得した牛肉加工・販売のゼンカイミート(熊本県錦町)から、乳用種の肉を仕入れている。取引先は観光客が多い日本料理店やホテルなど30店ほどで、主に焼き肉やしゃぶしゃぶといった日本食で使う。
売り上げは順調。アクマル社長は「将来は和牛も取り扱っていきたい」と意欲的だ。
ゼンカイミートのハラール肉の販売量は、全体で毎月4、5トンにまで成長した。ロースやモモ肉などが主だ。と場がハラール認証を受けているので、今後は和牛のと畜も請け負い、処理量を増やしたいとしている。
<ことば> ハラール
イスラム教の戒律に従っているものや活動のこと。ハラールの認証を受けたもの以外の食べ物や飲み物を、ムスリムは避けなければならないため、認証のない商品はムスリム市場では受け入れられにくい。ハラール認証の商品は牛肉や鶏肉などの肉製品だけでなく、穀物でもある。豚のふん由来の堆肥や豚脂が混ざらないことなど、イスラムの戒律にのっとった手法での栽培や加工が求められる。ハラールの認証には、各国に認証機関があり、その国の機関が認証を認めないと その国ではハラール食品として流通できない。
[記者の目] 売り込み 足元から
少子高齢化や人口減少が進み日本市場は縮小が避けられない。拡大し続けるムスリム市場を狙うことは当然だ。ただ、欧米市場と違い宗教的な制約が強いだけに、慎重に準備を進めてほしい。ハラール認証は売り込むための最低限の保証で、認証を受ければ売れるものではない。日本の農畜産物や商品に何を求めているのか、きっちり市場調査し勝負してほしい。
昨年、ユネスコの無形文化遺産に和食が登録され、イスラム圏でも日本食ブームが起きている。特にすしの人気は高く、専門家も米やしょうゆなどの輸出拡大を期待している。とかく食肉に関心が集まりがちなハラール認証だが、イスラム圏で流通させるには、米やしょうゆにも認証が必要だ。
ただ、輸出もいいが、注目したいのは国内市場だ。日本在住、もしくは観光や商用で訪日するムスリムの人々に、積極的に商品を売り込み、ニーズを把握してほしい。海外に売り込むより経費や労力も掛からない。もしファンになってくれれば商品の良さの口コミも広がり、輸出の可能性も出てくる。ハラール認証を取得し、まず足元で勝負してはどうか。(山)
[専門家はこう見る] ハラル・ジャパン協会田中章雄副理事長
ハラールをめぐる現在の状況や課題を、ハラル・ジャパン協会の田中章雄副理事長に聞いた。
・国ごとの対応必要 動向見極め戦略を
当協会は、ハラールの認証団体ではなく、日本企業がハラールビジネスに取り組むための情報提供やPR活動を支援する団体だ。世界人口の約4分の1である約18億人を有する巨大なイスラム市場を狙い、日本企業では加工食品業界を中心とした企業と、地方自治体の関心が高い。
協会調べでは、日本には有力なハラール認証機関は六つあり、認証取得した商品は 約150に上るとみられる。認証費用は1商品で50万円から200万円程度だ。ただ取り組み は始まったばかり。試験販売はあるものの、本格的に販売している商品はごくわずかだ。
ハラールについて、さまざまな情報があるが、間違った情報も少なくない。例えば「ハラール認証を取れば東南アジアのどこの国でも通用する」といった点。認証は東南アジア各国の認証機関が管理している。このため日本の認証機関がどこの国と相互認証を取っているかを理解した上で、取り組む必要がある。
また認証を取得したからといって簡単に物が売れると考えないほうがいい。あくまで認証は、ハラールという点を証明した最低保証にすぎないからだ。認証取得に向けた活動も重要だが、輸出を目指す団体・企業はその国のマーケットをきちんと分析することが大切だ。
最近では、輸出ではなく、訪日するムスリムの観光客を狙って取得するケースもある。ムスリムの観光客は2012年に年間約30万人だったのが、今年は約50万人になりそうだ。在日 のムスリムは約20万人で合計約70万人の市場がある。
一部の空港やホテルでは、こうしたムスリムに対応した飲食店などが最近になって登場している。ハラール対策は一企業だけで対応することは難しいので、さまざまな業界が連携して共同運営の飲食店が登場しても面白いと思う。
課題は数多くあるが、イスラム市場は可能性が大きい。こちらが売りたい商品を輸出するのではなく、相手国の市場動向をつかんだ商品開発を戦略を持ってマーケティングすることが重要だ。
・国内で900億円期待
ハラール認証が日本で注目され始めたのはここ数年。親日的で経済が急成長するマレーシアなどイスラム圏の市場と、年々増えるムスリム観光客への期待からだ。
日本アジアハラール協会によると、ハラール食品の世界市場規模は2013年で約300兆円に上る。しかも、ムスリム人口は30年には約22億人に増え、世界全体の3分の1に達する見込み。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、ムスリムが多く、インフラ整備と倉庫・物流業者が整う国・地域として、中国の上海、タイのバンコク、フィリピンのマニラ、マレーシアのクアラルンプールをハラール認証産品の有望市場として挙げている。
日本国内では今年、観光客と日本在住のムスリム合わせて約70万人の市場がある。ハラル・ジャパン協会によると「食に関する支出だけで900億円の潜在的な市場がある」とみて、例えばムスリムが安心して食事ができる場所をつくることを提案する。
これら国内外市場に向け、昨年から食品企業や牛肉加工業者などの認証取得が相次ぐ。認証機関でもある日本アジアハラール協会では「認証を受ける企業は毎月3、4社ペース」という。昨年は20社を認証し、今年は倍増を見込んでいる。
・輸出拡大 高級和牛 官民連携で
神奈川県内の肉牛生産者らでつくる「横濱ビーフ推進協議会」は4月下旬、国内のハラール認証を受けた黒毛和種のA5等級のサーロインとヒレ肉100キロをアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに初めて輸出した。富裕層が多い ため高価格な和牛を売れる「有望な市場」と見込んだためだ。
現地では、高級和食レストランのステーキなどに使われたという。同協議会の小野宏会長は「国内では上物が売れない。ハラール認証を取るには手間も掛かるが、海外で評価を得ることは国内でのブランド向上にもつながる」と期待している。
ただ、国内でUAE向けのハラール認証を取得している食肉取り扱い施設は2カ所だけ。処理できる頭数は限られる。
こうした現状に、地方自治体も対策に乗り出した。熊本県は2014年度補正予算で「ハラール対応牛肉輸出促進事業」に3800万円を計上。岐阜県は「岐阜県ハラールプロジェクトチーム」を6月30日に設置、官民で議論を始める。
ハラール認証牛肉の輸出をする大手食肉卸売業者によると、イスラム法に基づいた食肉処理方法は牛にストレスが掛かり肉に血の塊ができる多発性筋出血(シミ)ができやすい課題もあるという。シミができると国内市場では値段が大幅に下落するため、ハラール認証をためらう生産者も少なくない。
この卸売業者は「シミができてもハラール認証の牛肉という付加価値を付け、国内で販売できる流通システムを構築する必要がある」と指摘。その上で「日本にはない需要がイスラム諸国にはある。まずは和牛の高級部位を売り出し、消費の裾野を広げていきたい」と強調する。
・米生産者も
ハラール認証が関心を集めているのは牛肉だけではない。良食味として知られる米でも、認証を受ける業者が出てきた。
米を中心としたハラール食品を手掛けるフィードイノベーション(東京都千代田区)は13年9月に日本で初めて、米でハラール認証を取得した。秋田県にある関連農場で生産する米をマレーシア向けに輸出するためだ。東南アジアの主要都市には既に大手卸が進出しているため、今後の拡大が見込める市場として、マレーシアに目を付けた。
米の場合は、圃場(ほじょう)周辺に豚舎がないことなどが認証の条件になるものの、栽培上の大きな違いはない。それでも審査費用を出して認証を取得した理由を、佐藤仰喜社長は「マレーシアには事実上、ハラール以外の食品は輸出できないため」と説明。市場開拓のために必要な手続きと捉えている。
国内でのハラール認証米の販売先は、今のところ観光客向けの土産物店。真空パックにした、持ち帰りに特化した小容量の商品にとどまっている。飲食店などでの扱いが始まれば市場も広がるが、そのためには肉や米と合わせる加工食品にも認証商品があった方が有利。ハラール食品だけで料理のメニューができれば「売り先も広がる」と期待する。
・国内向け 観光ビザ緩和 追い風
国内でもハラール認証を受けた食品のニーズは高まっている。ムスリム向けの食品卸売業を2011年から展開するマレーシアハラルコーポレーション(東京都港区)のアクマル・アブ・ハッサン社長は、ハラール認証の取得に向けた勉強会に、しばしば講師として招かれる。ここ1、2年は月に10回くらいのペース。「急に増えた」と関心の高さに驚く。
背景にあるのはイスラム圏から日本へ訪れる観光客の増加だ。ムスリムの人口は中東より、むしろ東南アジアの方が多い。マレーシアでは国民の6割、インドネシアでは9割がムスリムといわれ、こうした国からの観光客が増えている。日本政府観光局によると、マレーシアからの訪日客数は5月までに9万9200人で、前年に比べて6割増。インドネシアも5万9700人と2割近く伸びている。
羽田空港国際線の増枠や、東南アジア諸国の観光ビザの発給要件が緩和されたことが観光客を呼び込んだ。アクマル社長は、食事や土産物といった観光客向けのハラール市場を「年間で最低でも10億円はある」と見込む。
同社は、ハラール認証を受けた牛肉を扱っているのが特徴。同社の求めに応じて認証を取得した牛肉加工・販売のゼンカイミート(熊本県錦町)から、乳用種の肉を仕入れている。取引先は観光客が多い日本料理店やホテルなど30店ほどで、主に焼き肉やしゃぶしゃぶといった日本食で使う。
売り上げは順調。アクマル社長は「将来は和牛も取り扱っていきたい」と意欲的だ。
ゼンカイミートのハラール肉の販売量は、全体で毎月4、5トンにまで成長した。ロースやモモ肉などが主だ。と場がハラール認証を受けているので、今後は和牛のと畜も請け負い、処理量を増やしたいとしている。
<ことば> ハラール
イスラム教の戒律に従っているものや活動のこと。ハラールの認証を受けたもの以外の食べ物や飲み物を、ムスリムは避けなければならないため、認証のない商品はムスリム市場では受け入れられにくい。ハラール認証の商品は牛肉や鶏肉などの肉製品だけでなく、穀物でもある。豚のふん由来の堆肥や豚脂が混ざらないことなど、イスラムの戒律にのっとった手法での栽培や加工が求められる。ハラールの認証には、各国に認証機関があり、その国の機関が認証を認めないと その国ではハラール食品として流通できない。
[記者の目] 売り込み 足元から
少子高齢化や人口減少が進み日本市場は縮小が避けられない。拡大し続けるムスリム市場を狙うことは当然だ。ただ、欧米市場と違い宗教的な制約が強いだけに、慎重に準備を進めてほしい。ハラール認証は売り込むための最低限の保証で、認証を受ければ売れるものではない。日本の農畜産物や商品に何を求めているのか、きっちり市場調査し勝負してほしい。
昨年、ユネスコの無形文化遺産に和食が登録され、イスラム圏でも日本食ブームが起きている。特にすしの人気は高く、専門家も米やしょうゆなどの輸出拡大を期待している。とかく食肉に関心が集まりがちなハラール認証だが、イスラム圏で流通させるには、米やしょうゆにも認証が必要だ。
ただ、輸出もいいが、注目したいのは国内市場だ。日本在住、もしくは観光や商用で訪日するムスリムの人々に、積極的に商品を売り込み、ニーズを把握してほしい。海外に売り込むより経費や労力も掛からない。もしファンになってくれれば商品の良さの口コミも広がり、輸出の可能性も出てくる。ハラール認証を取得し、まず足元で勝負してはどうか。(山)
[専門家はこう見る] ハラル・ジャパン協会田中章雄副理事長
ハラールをめぐる現在の状況や課題を、ハラル・ジャパン協会の田中章雄副理事長に聞いた。
・国ごとの対応必要 動向見極め戦略を
当協会は、ハラールの認証団体ではなく、日本企業がハラールビジネスに取り組むための情報提供やPR活動を支援する団体だ。世界人口の約4分の1である約18億人を有する巨大なイスラム市場を狙い、日本企業では加工食品業界を中心とした企業と、地方自治体の関心が高い。
協会調べでは、日本には有力なハラール認証機関は六つあり、認証取得した商品は 約150に上るとみられる。認証費用は1商品で50万円から200万円程度だ。ただ取り組み は始まったばかり。試験販売はあるものの、本格的に販売している商品はごくわずかだ。
ハラールについて、さまざまな情報があるが、間違った情報も少なくない。例えば「ハラール認証を取れば東南アジアのどこの国でも通用する」といった点。認証は東南アジア各国の認証機関が管理している。このため日本の認証機関がどこの国と相互認証を取っているかを理解した上で、取り組む必要がある。
また認証を取得したからといって簡単に物が売れると考えないほうがいい。あくまで認証は、ハラールという点を証明した最低保証にすぎないからだ。認証取得に向けた活動も重要だが、輸出を目指す団体・企業はその国のマーケットをきちんと分析することが大切だ。
最近では、輸出ではなく、訪日するムスリムの観光客を狙って取得するケースもある。ムスリムの観光客は2012年に年間約30万人だったのが、今年は約50万人になりそうだ。在日 のムスリムは約20万人で合計約70万人の市場がある。
一部の空港やホテルでは、こうしたムスリムに対応した飲食店などが最近になって登場している。ハラール対策は一企業だけで対応することは難しいので、さまざまな業界が連携して共同運営の飲食店が登場しても面白いと思う。
課題は数多くあるが、イスラム市場は可能性が大きい。こちらが売りたい商品を輸出するのではなく、相手国の市場動向をつかんだ商品開発を戦略を持ってマーケティングすることが重要だ。
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