Pages

ロシア、GMOと有機農業の地政学

2014/05/18
マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/gmo-e300.html

〈転載開始〉
Ulson Gunnar
2014年5月2日
New Eastern Outlook

ロシアのRTは、“ロシアはGMO産品は輸入しない - メドベージェフ首相”と題する記事で、“ロシアはGMO産品を輸入しないと、ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は語り、ロシアには自然食品を生産するのに十分な面積と資源があるとも述べた”と報じたが、記事は、ロシア首相が、具体的に、“もしアメリカ人がGMO産品を食べたいのであれば、彼等はそれを食べれば良い。我々はそうする必要はない。我が国には、自然食品を生産するのに十分な土地と機会がある”と述べたことも引用した。

記事は、そうした慣行に大衆の反対が着実に高まりつつあるのに、遺伝子組み換え製品に対する表示が不要なアメリカの法律とは対照的に、ロシアでは、0.9%以上の遺伝子組み換え原料を含む製品は、内容を表示しなければならないことも書いている。

GMOに対するロシアの姿勢は、つい最近モンサントのGMトウモロコシが禁止されたフランス、アメリカGMトウモロコシ輸入が禁止された中国を含め、他でも見ることができる。益々情報に通じつつある国民の間での、健康上と環境上の正しい懸念ゆえに、GMOに対する逆風がかなり広がっている。しかし、ロシアや中国等の国々が、GMOに強く抵抗する動機には、地政学的な要因もある。

軍隊は胃に向けて行進する

それによって遺伝子組み換え生物が生み出されているバイオテクノロジーは、現在欧米を中心とする一握りの極めて強力な多国籍企業によって独占されている。この独占形態は(部分的に)欧米の覇権権力の基盤だ。アフガニスタンで見られる様に、モンサントの様な巨大アグリ独占企業は、南アジア国家の大企業による植民地化を企む上で、極めて重要な役割を演じた。企業権益とテクノロジーは、欧米の支援機関とあいまって、またNATOの軍事力に裏付けられて、伝統的作物を組織的に汚染し、遺伝子組み換え大豆で置き換え(それまで、アフガニスタン農業や料理に無縁だった作物)アフガニスタンの農業風景を変えることを支援してきた。

モンサントがアフガニスタンに下ろした根は、深く永続的となろう。特許権を有する遺伝子組み換え大豆に依存する農民は、モンサントや他の欧米のバイオテク/巨大アグリ企業に永久に依存することになり、日々の暮らしで、そうした農民に依存する人々も同じことになる。独立国家としてのアフガニスタンは、主権そのものが、最も基本的、根源的なレベルで浸食され、国の食料安全保障は、今や外国人の手中に握られている。

だから、ロシアや中国の様な国々や他の国は、GMO産品による健康や環境上の影響に関して、国民の間で増しつつある懸念だけでなく、この独占技術が、それぞれの国家の食糧供給に対し、結果的にその主権に与える脅威に、対応しているのは明らかだ。

隣国ウクライナにおける政権転覆を強化することを欧米が目指す中での最近のロシアを狙った経済制裁は、欧米巨大アグリ企業への絶対的依存が、どれほど潜在的危険となりうるかを完璧に表している。ロシア農業が、欧米のGMOにより依存していたならば、そして欧米の経済制裁が、イランのような国に対するように、より広範な、あるいは全面的なものであれば、ロシア国民の生存可能性が危険にさらされていた可能性があり、ロシア政府を脅迫することが可能な外国に支援された政治的不安定も容易に実現されていたろう。

それぞれの国が城砦

対イラン経済制裁は、食料生産、技術研究・開発や、武器開発を含む広範な社会経済活動において、自足自給となるようイランに強いた。欧米のイラン経済制裁は、国家レベルで行われる現代式の攻囲戦として、国家を弱体化させ、究極的に国家の崩壊に貢献するよう機能するよう設計されているが、彼等はそうではなく、イランを一層回復力に富む国にした。

イランは、包囲をどこかの場所で破ってしのぎ、他の国境内の場所における、自給自足経済活動によって、包囲を弱体化させる、ことわざの“城砦”に似たものと化した。ロシアや中国のような国々は、欧米が特定の同盟と戦略(それぞれ、NATOと“アジアへの回帰”)とによって、あからさまに企んでいる包囲に直接直面しており、同様に、独立と、食料安全保障の様な基本的な必需品を最優先にして、広範な社会経済活動にわたる自給自足を確保しなければならない。

メドベージェフ首相が示唆したような、現代テクノロジーによって強化された有機農業は、ロシアの食料安全保障を、現在そして将来にわたって確保する力がある。より健康な、GMO成分を含まない食品に対する需要が世界的に増えつつあり、有機農業に傾斜した国家政策は、最終的に、ロシア国境を越え、経済上の優位性にもなり得よう。世界中の他の国々、コミュニティーや、実際、個人も、自国の食糧供給を確保するこの基本的第一歩を良く見て、国家、地方、個人の主権にとって、また経済見通しを良くする手段としても、それが、どれほど重要か理解すべきなのだ。

欧米の巨大農業独占企業は、世界中で、国全体の食糧供給に潜入、侵略しようとしており、地政学的に、影響力を与えたり、支配したりすることを狙っている相手国に対し、打撃の大きい経済制裁を狙っている。欧米超巨大農業独占企業に依存させられるようになった国家は、万一既存の政治秩序を弱体化し、打倒する為の、経済制裁や、他の手段の標的にされた場合、攻撃にきわめて脆弱になるだろう。だから、有機農業を進めることは、国の国民の健康を維持し、一層生産的にするだけの手段ではなく、国家主権を守る根本的な手段でもある。

超巨大農業独占企業からの見返りという近視眼的な利点では、世界中の政府にとって、今日は、そそられるものかもしれないが、明日には、そうした政府の有用性が尽きたと欧米が感じて、新指導部か必要だと思った際には、欧米が、その政府を絶滅させるのに利用する「てこ」になりかねない。GMOの利点を信じる国々では、外国による食糧供給がもたらす外国による支配の様々な危険に機先を制して、国民は、そのようなテクノロジーは、国家独自に開発され、導入され、規制され、監視されるよう要求すべきだ。

Ulson Gunnarは、ニューヨークを本拠とする地政学専門家で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”ライターである。

記事原文のurl:journal-neo.org/2014/05/02/russia-gmo-and-the-geopolitics-of-organic/
----------
アフガニスタンのカルザイ大統領、大いにもうらやむ政権・官僚・学会・業界・労組・マスコミ。

この国では、財界トップが先導して、GMO作物を積極導入し、わざわざ農業を弱体化し、家族経営小規模農業を破壊し、農協を破壊して、収益第一の新自由主義農業に転換すべく、着々と永久植民地化の手段を講じている。

日本のお米が仮に高くとも、安全保障政策と思えば不思議はないだろう。安全保障はただではない。尖閣で、わざわざ揉め事をおこして、それに膨大な兵力・武器を注ぎこむようなアホな行動をせず、本質的な安全保障を考えるべきだろう。

宗主国を見れば、平和では、経済・政治が立ち行かないのが末期資本主義の退廃した現実。「集団的自衛権容認」、宗主国の戦争費用・人員分担命令と、属国の軍産複合体の利益追求の二点からの至上命令だろう。

食糧、しっかり放射能測定されていなければ、安全もなにもない。

木村真三氏は『放射能汚染地図の今』で、安心、安全の為の徹底的な測定と、公表を強く主張しておられる。

ところで、『放射能汚染地図の今』を素晴らしいと絶賛しているが、どうしても賛成できない部分があることは明記しておかねばならない。当然、ご専門の放射能についての記述ではない。
231-232ページ、ウクライナ政変に関する記述、当ブログで翻訳ご紹介している記事と全く逆の御意見なのだ。例えば、
抗議行動に参加している市民の大半は、ウクライナ大統領選の不正に対するオレンジ革命と同じく、無党派の、民主主義を求める人々である。
ウクライナの学者や政府省庁と連絡をとって、共同研究をしておられるのだから、相当深く長い関係をお持ちだろう。現地通訳をされている方々のメールから、判断をされているようだ。ないものねだりだが、「オデッサ虐殺」等についても、現地通訳をされている方々の御意見を、是非伺いたいものだ。

小生は、こう考えている。
抗議行動に参加している市民の大半は、ウクライナ大統領選の不正に対するオレンジ革命と同じく、無党派の、民主主義を求める人々であったが、指導部はそうではなかった。
しつこく繰り返すが、「オレンジ革命」自体、指導部は、無党派の、民主主義を求める人々ではなかったろうと思っている。
〈転載終了〉

0 件のコメント:

コメントを投稿