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スズメ

2014/05/17
農家の想いを大切にする、農業ビジネスコーチングさんのサイトより
http://ameblo.jp/kchan-shokai/entry-11843145947.html

〈転載開始〉
 前に、カラスについて書きました。

 カラスときたら、次にくるのはやっぱりスズメだろう、ということで、今回はスズメについてです。

 カラスは悪役のイメージが強いですが、スズメは?というとそれほどでもないですね。

 色んな理由が考えられますが、やはりルックスの違いが大きいのではないかと思います。

 とはいえ、ざっくり行ってしまえば、スズメもカラスも似たところは結構あります。

 と言うのは、実はカラスはスズメ目カラス科で、スズメ(スズメ目スズメ科)とは親戚筋に当たるのです。

 ヒトとサルくらいの関係になります。



 似たところを具体的に挙げると、例えば頭がいいところがあります。

 前回、脳化指数という数字を紹介しましたが、カラスは1.25くらいでスズメは1.0くらいです。

 ちなみにイヌは1.2くらい、ネコは1.0くらいなので、スズメとネコは同レベルともいえます。

 また、賢いということは用心深いことにもつながります。

 ハト(脳化指数は0.3くらい)などは人間が餌をやるとすぐ近くまで寄ってきますが、スズメは結構な距離を保っていますね。

(都会ではもっと近寄ってくるのかもしれませんが、私の住むところでは近づきません)

 巣作りしているとき等でも、人が見ていると巣のほうに近寄らなかったり、全然別の方向に飛んでいったりして目くらましするようです。



 他には、スズメもカラスも雑食です。

 スズメというと米を食べる害鳥ということになっていますが、害虫も雑草も結構食べます。

 害虫は、主に春頃によく食べます。

 これは、子育てのためです。

 スズメは春~夏頃に雛が生まれます。

 そして、雛に栄養価の高いくて昆虫を食べさせます。

 その後、雛が成長してくると、害虫だけでなく雑草や穀類を食べだし、秋頃には穀物を食べて害鳥となるわけです。

 ちなみに、一般に鳥類は飛ぶエネルギーをたくさん必要とするため、食べる量も多いです。

 スズメについて言えば、一日に自分の体重の1/5ほどのエサを食べます。

 身体が小さい分表面積が大きく、体温を奪われやすいために沢山食べるといわれています。

 従って、穀物類を食べるときの被害も大きいですが、害虫や雑草を食べることによる防除効果も高いです。



 これに関して、昔、中国で毛沢東がスズメの駆除運動を行ったことがあります。

「スズメ取り突撃隊」という部隊を作り、彼らが巣を壊したり、ひなを殺したりしました。

 飛んでいるスズメは、人間が下から追い回して、地面に下りられないようにし、飛び疲れたところを捕まえました。

 さすが中国、恐るべき人海戦術です。

 殺したスズメは11億匹というからというから途方もない数。


 で、その結果どうなったかというと、害虫や雑草が大発生して米が大凶作となました。

 そして、他の政策の失敗もあって、二千万人から五千万人が餓死したと言われています。



 話は戻って、スズメは飛ぶのも上手です。

 方向転換や加速、飛び立ったり着地も上手いです。

 ただし、惜しむらくは体力がないので、行動範囲が限られているし、そんなに高くまで飛べません。

 昔聞いた話で、超高層ビルからスズメを放したらどうなるか、というのがありました。

 下に着地するまでに体力が尽きて落下してしまうらしいです。
(本当かどうかは調べても分かりませんでした)



 スズメの防除方法は、基本的にはカラスと同じです。

 前回も書きましたが、かかし、キラキラテープ、目玉風船、爆竹、防鳥網、テグス等です。

 あと、調べていて面白かったのは、スズメを酒で酔っ払わせるという方法があるらしいです。

 3月くらいの餌の少ない時期に、お酒をしっかり染み込ませた雑穀類を蒔いておくと、スズメがそれを食べて、酔っ払って動けなくなって捕獲できるらしいです。

 酔っぱらったスズメ、見てみたいです!

 ただし、こういった方法は、鳥獣保護法があるので気をつけなければなりません。

 スズメが捕獲できるのは、狩猟免許を持っている場合、学術目的、害を受けていて駆除を役所に申請して認められた場合等に限られます。

 これらに該当しなければ、追っ払うくらいでとどめておかなければなりません。

 追っ払うだけでは、決定打はなく、慣れさせないように手を変え品をかえる必要があります。

 これも、カラスや他の鳥の対策と同じです。



 以上、調べてみると、スズメは害鳥と益鳥と両面の役割を担っていることが分かります。

 これはスズメだけに限りません。

 私たちは、他の生物に農作物を食べられると、ついつい怒りのあまり根絶やしにしてやろう、とか思ってしまいます。

 でも、実は多くの場合、プラスマイナス両面を持っているものなのかもしれません。

 被害を受けても冷静になって、共存共栄できる道を考えたいものです。

 
参考にした本

藤岡正博 中村和雄 鳥害の防ぎ方 家の光協会




国松俊英 スズメの大研究
PHP研究所




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〈転載終了〉

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